その十二 民衆のための学校
平安時代は、貴族の時代といわれるように政治、経済、文化のにない手は貴族たちでした。従って、学校も貴族中心であり一般民衆はなかなか学問をする機会に恵まれませんでした。
そこでお大師さまは、身分の差がなく勉強できる民衆のための学校、『綜芸種智院』(しゅげいしゅちいん)を京都東寺のかたわらにつくられました。
この学校は、僧侶によってつくられた僧侶を養成するための学校ではありません。仏教のほかに儒教(じゅきょう)も道教も、医学も、天文学も学ぶことができる総合大学でした。おまけに先生も生徒も宿舎つき、食事つき、授業料無料という理想的な学校でした。お大師さまは、貴族のあいだをまわって、この学校の維持寄金をつくることに努力され、集まったお金で民衆のための学校を運営されました。

写真 綜芸種智院跡

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